Pose Method of Running ポーズ・ランニング

ランニングフォームを意識して走力を上げよう!

Pose Method of Runningのテキスト(英書)の要約や原文と対訳を紹介しながら、アメリカの人気ランニングフォーム理論について考察してみる

40 腕の動作によるエラーの修正 CORRECTING ERRORS IN ARMS' MOVEMENT

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腕振りを考察してランニングフォームを見直そう!

Pose Method of Running, Chapter 40, p295-299, 要約と翻訳

 ランニング中の腕の動作におけるエラーの何を考察したらいいのだろうか? 基本的には脚と完全に協調して腕が動作していないのであれば 修正すべきエラーがあると言える。ランニング中は、身体の各部位は力学的に完全に調和して活動している。脚の動きが、脚以外の動作を決定付けているといえる;脚の動きと同調していない動作はランナーのバランスを崩す要因ともいえる。
 脚の動きに同調して腕を動かし続けるという行為は、ランニング動作の先入観から来る心理作用ともいえる。脚が地面から離れている時に推進力を得ようと懸命に四肢を動かして無駄にエネルギーを浪費するのと同様に、積極的に腕を動かして推進力を得ようとするいかなる企ても理想とするランニングフォームを崩す要因となるのです。
 f:id:Tomo-Cruise:20170715071512j:plainレースのゴール前数キロでのラストスパートの姿が腕を動かして推進力を得ようともがいている一番の例でしょう。疲れ果てた身体から最後の気力を絞り出そうと懸命に腕を振りだしてしまうのです。そして腕の振りはさらに激しくなって、果たして何が起こるのでしょうか?第一に腕の振り過ぎによってゴールに向かう直線ラインから逸脱してしまうこと。第二に突如必要となったエネルギーは脚に使うべきものを腕に使うこととなり、また必要以上に浪費してしまうこと。第三に急なエネルギー消費の上昇への対応として、腕振りは大量な乳酸を発生させ、数秒で筋肉を石のように固くしてしまうことが考えられます。そして結果的に痛みが発生し、脳に不快感信号を発するのです-すぐにも全システムの操業を停止せよ!-と。
 この、脚が思うように動かせなくなった愚かなるランナーに降りかかったことは、完全にバランスを失ってしまっているということなのです。まずはじめに、過剰な腕振りは物理的バランスを台無しにし、尻に回転動作を加え、身体が直立することを阻み、ゴールラインへ真っすぐに走ることをも阻んでしまうのです。
 次に、身体エネルギーの余力に対しての臨界点を。最も必要となる時に損なってしまっているということです。残るすべてのエネルギーを絞り出し脚の動作へと使うべきところを、腕振りに振り向け、またその動作から生じる身体の各部にも分散させてしまうのです。
 そしてついには、このランニング技術の混乱とそれによって生じる痛みは、ランナーのパフォーマンスを左右する最重要点である精神的バランスを崩壊させてしまうのです。余計な動きのない身体が雑念のない精神に仕事を全うさせうるのとは逆に、過剰な腕振りは精神を混乱させ、痛みなどの影響とも戦い、集中力を失わせ、ネガティブな思考へと導いてしまうのです。
 f:id:Tomo-Cruise:20170715081713p:plainオリンピックでさえ、ランナーがゴールラインの近くで全ての調整力を喪失したような状態でいるのを見た時があるだろう。スムースに流れるようにゴールラインに向かうのとは対照的に、断続的にけいれんしているように制御不能に陥っている状態でゴールに向かっているのを。観衆は選手のガッツに熱っぽく応援してくれているものの、実際には懸命に余計なことをしているだけで、パフォーマンスは応援と裏腹に落ちてしまっているのです。
 ランナーにとって結果を出すために出来る限りの全ての手段を尽くすことはありがちなことではあり、ポーズメソッドにおいても同様に様々な手段はあるが、その全ての手段というのは適切な手段であって、不適切な手段を排除することも意味するのです。よってパフォーマンスを上げるためには、適切な知性・ものの見方とランニング技術の正しい把握が前提として必要となるのです。
  さて、ここでランナーとは力学的体系(mechanical system)そのものであるという概念を思い出してほしい。知っての通り、ランニングにおいて脚は実際に主役であり、その他の部位は従属すべきなのです。この力学的体系においては、内在的で持続的なエネルギーの流れは脚から始まり、胴体へ、そして腕へと進みます。このエネルギーの流れ、もしくは変換は身体の力学的バランスにとって極めて重要なのです。そして腕はバランスを維持するために不可欠な役割を果たすのです。
 基本的に身体のバランスが良くなるほど、ランニング中の推進力よる軌道は直線的になるのです。言い換えれば、バランス能力が上がるにつれ力学的効率性が増すのです。身体を力学的効率性のピークまで持っていければ、動作を維持するのに必要となる総体的なエネルギーを削減し、身体にかかる負荷を大いに抑制することにもなるのです。平易な言葉に置き換えると、スムースでバランスの取れたランニングは骨、関節、腱、靭帯そして筋肉にやさしい走りなのです。
 ランニングの力学的連続性は、前傾姿勢から始まり、支持脚の一方からもう一方への素早い入れ替えとすぐに続きます。バランス維持の無意識的な反応として、身体はわずかながらの肩の回転動作をするのです。その時、逆側の脚が支持脚の入替を行っており動きを相殺しバランスを取るのです。肩に回転動作が発生するのに応じて腕の動作が起こるのです。
 f:id:Tomo-Cruise:20170715071740p:plain腕の動きは基本的にこの連続動作の終点に位置付けられます;その動きは完璧なバランスを維持するために最小限の抑えるべきなのです。この一連の連続動作によるエネルギーの流れは同一ルートを常に通ります。この経路を通るエネルギーの解放は、筋肉の必要以上に緊張させることを抑制し、全身及び各部位全体の動作の解放にもつながります。そして腕の役割は脚と身体の状態を「聞く」ことであり、バランスを維持するために必要な調整をして、その動作のいかなる変化に対して反応する態勢をつくることであるのです。
 例えばトレイルランニングでつまづいたなら、腕によってすぐさまバランスを取って立て直し、できる限り早く最適なフォームへと復帰させることでしょう。そのような状況下になくとも、腕は完璧なフォームとバランスを維持するために最小限の動作で常に備えているのです。
 具体的に言うと、腕を大げさに上下に動かしたり、脚の動作より速く動かそうとしたり、体の前方や肩の高さまで振ったりしてはいけないのです。腕の運びは、開放されていて、リラックスしていて、最小限の動作にとどめておいて、脚の動きと調和させておいて、必要な時に直ぐに反応できるように備えさせておくものなのです。